コロナ予報(COVID-19 Forecast)更新2020.08.30
新型コロナ感染症第2波は、ほとんどの都道府県で収束に向かい始めました!
主要都道府県別、
新型コロナウイルス
感染拡大・終息の予測!
新型コロナウイルス感染症数理モデル研究会
研究会メンバー 並木正夫
更新2020.08.30
8月30日の公表データで再計算しました。
掲載した全ての都道府県で入院者の予測曲線を追加しました。
今回の更新で、一旦、コロナ予報は休憩します。
COVID-19 Forecast (コロナ予報 更新8月30日)について
最終ページの注記を確認してください!
前回のコロナ予報(8月19日で、ほとんどの都道府県で1日の新規感染者はピークを越えて、入院・療養者もピークを越えているように見えると書きました。一方、8月21日に行われた新型コロナウイルス対策の政府の分科会では、「全国的には今回の感染拡大はピークに達したと考えられるものの、再び増加するおそれがあり引き続き注意が必要だと指摘し・・」、飽くまで慎重です。
8月30日までのデータで計算した結果では、多くの都道府県で新規感染者は収束に向かい始めています。入院・療養者、入院者、重症者もピークを越えて、数字の上では確保している病床数を越えることはなさそうです。
コロナ予報は、このHPで8月4日に公開し、8月6日、9日、13日、16日、19日、30日(今回)と更新しました。第2波でも、第1波と同じ手法が使えるという前提で、予測計算をしていますが、第2波に対する新規感染者ピークの予測と入院・療養者の予測は、これまでのところ、第1波で検証した方法がうまく適合できています。
第2波の新規感染者は収束に向かっていますが、ピーク(検査陽性者 計算)の10~15%までは、予測計算に沿って収束し行き、その後は、クラスターが散発的に発生し、その後、第3波に繋がるものと考えています。
第2波の収束が見えたことで、このコロナ予報は一旦休憩をしたいと思います。当研究会における新型コロナ数理モデルに関する研究・議論は続いていて、更なる発展が期待されます。研究の成果は、HPで公開して行きますので引き続きご注目ください。
【全国】
第2波の感染規模は、第1波の3~4倍
右図は、8月30日(速報ベース)までのデータを使って、SIQR数理モデルで計算した結果です。
•予測の曲線は前回とほぼ同じです。
•入院者の予測曲線を追加しました。
•全国で200人を切るのは9月初めです。
重症者の実績プロットが大きく上に外れているのは、重症者の定義の違いによるもので、主に東京の影響です 。
最終ページの注記を確認してください!
【北海道】
北海道は、幾つかのピークを繰り返しており、明確な山が無いので予測が難しいのですが、7/6以降のデータを第3波として計算しています。
北海道の場合は、明確な山が無いため、うまくフィッティング出来ていない。決定係数も0.38で低い。第1波のあと、散発的なクラスターが継続していると見られ、入院・療養者、入院者も急に増えることはないと考えます。
コロナ対応の病床(628床)に余裕があるためか、入院・療養者に対する入院者の比率が高くなっています。道もステージ1と評価していて、冷静な対応をしています。
【道内の発生状況】
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/ssa/singatakoronahaien.htm
最終ページの注記を確認してください!
【首都圏(東京都)】
予測のカーブは、前回の予測(8月19日)とほぼ同じです。
重症者の予測を追加しました。重症者は、東京都基準です。
1日の新規感染者の予測は、7日間移動平均と比較すると概ね良い一致を見ています。
療養者(要隔離・入院者)、入院者、重症者の予測は概ね良く一致をしています。
病床確保数(緑の丸)がバラついているのは、東京都と厚労省の公表数値が違うためです。
「医療現場の実感としては、感染者は増加している」という見解が報道されていますが、入院者、重症者は、これ以上増えない予測になっています。
都は、8月27日には一部の店に対し「営業時間短縮」の要請を出し、依然として「感染が拡大していると思われる」としていて、この予報と相違する対応になっています。
予測計算結果では、1日の新規感染者が100人を切るのは9月5日、50人を切るのは9月14日となっています。
第1波と同じような傾向をたどるとすると、50人を切った後は、クラスターが散発的に発生して、第3波に繋がるものと考えます。
最終ページの注記を確認してください!
【首都圏(埼玉、千葉、神奈川)】
入院者の予測を追加しました。3県とも、新規感染者、入院・療養者、入院者のピークを越えたと見られます。
最終ページの注記を確認してください!
【近畿圏(大阪府、愛知県)】
大阪府の予測は、前回とほぼ同じです。1日の新規感染者の予測は、7日間移動平均と比較すると概ね良い一致を見ます。
療養者(要隔離・入院者)、入院者、重症者の予測は概ね良く一致をしています。
下の図の赤の一点鎖線は、重症者を指数関数で回帰したもので、9月9日には、重症者が200人を超える予測になってしまいます。指数関数で回帰できるのは、限定した区間のみです。
実行再生産数の計算を追加しました。
前回とほとんど同じです。
入院者の予測曲線を追加しました。
最終ページの注記を確認してください!
【近畿圏(兵庫、京都)】
入院者の予測曲線を追加しました。
前回とほとんど同じです。
自宅療養者の数字が拾えていない。
入院者の予測曲線を追加しました。
前回とほとんど同じです。
最終ページの注記を確認してください!
【福岡県、沖縄県】
福岡の第1波は主に福岡市、第2波は北九州市でした。第3波は、福岡市と北九州市とそれ以外の地域にも拡大しています。
入院者の予測曲線を追加しました。病床数の余裕も出てきたようです。
入院者の予測曲線を追加しました。
差し迫っていた病床の不足も何とか乗り越えそうです。
【図の見方】
①の朱色の棒グラフは、1日の新規感染者(PCR検査陽性者)で、日々公表される数値です。東洋経済ONLINE[3]、 NHK特設サイト 新型コロナウイルス[2]のデータを使用しています。
②の青色の曲線は、公表データに対応する1日の新規感染者(検査陽性者)の計算値です。
③の赤い曲線は、要隔離・入院者で検査陽性者から治癒者を除いた計算結果です。
④のグレーのプロットは、入院患者の実績[2][4]です。
⑤のプロットは、ベッドの確保数です。
⑥の縦左軸は、新規感染者のデータと検査陽性者の人数です。
⑦の縦右軸は、その他の曲線、プロットに対する人数、ベッド数です。
注記
•“新型コロナウイルス感染症数理モデル研究会”では、新型コロナウイルス感染症の感染状況等を解析するための色々な手法について議論しています。
•ここに掲載した、感染状況の予測は、研究会で議論された方法の一つで、公表されたデータをもとに、SIQR数理モデルを使って計算したものです。
•主要都府県別の感染ピーク時期や検査陽性者数、及び、入院・隔離すべき感染者数を計算しているので、病床の準備やスタッフの備え、および、療養用ホテルの準備に役立つと考えています。
•色々な値を計算していますが、ここでは、誰もが知りたいと思っている1日の検査陽性者や要隔離・入院者数の推測計算値に絞って掲載しました。
•予測計算は、公表されるデータがタイムリーに集計されないことやPCR検査陽性者が発症者と不顕性陽性者を区別していないこと。感染拡大に影響する接触率などが変わるなどの理由で当然誤差を含みます。結果を保証するものではありません。
•計算の結果は、計算した日の予測計算結果です。データが増えるに従って誤差は少なくなるので、適宜、更新して行く予定です。
•予測は、SIQR数理モデルの非線形常微分方程式を解くことで求めますが、その際、方程式に使っている係数を計算結果がデータに合うように自動的に計算します(AI 機械学習)。感染拡大の初期でデータが少ないと過学習(オーバーフィティング)になることがあります。その場合は、過学習を防ぐための人為的な介在をして修正をします。尚、市中感染者の治癒期間は9日。隔離感染者の治癒期間は、平均14日と仮定していますが、入院・療養者のデータに合わせて調整する場合があります。
新型コロナウイルス感染症数理モデル研究会メンバー 並木正夫
参考文献
[1] 小田垣孝:新型コロナウィルスに関する一考察、物性研究(電子版) Vol.8, No.2 (2020年5月)
[2] NHK特設サイト 新型コロナウイルス https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data/
[3] 荻原和樹: 新型コロナウィルス国内感染の状況、東洋経済 ONLINE https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/
[4] 東京都のホームページ モニタリング https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/