2月22日(水)グランドプリンスホテル新高輪に於いて、優れた環境コミュニケーションを表彰する「第20回環境コミュニケーション大賞(環境省と一般財団法人地球・人間環境フォーラムの共催)」が今年も行われました。 今回は制定20回を記念し、中長期的な視点で、優れた環境戦略を掲げ、実践している事業者を表彰する「環境コミュニケーション大賞制定20回記念大賞」を特設しました。 また受賞のPRにご活用することが出来る受賞ロゴマークの策定もありました。※右のロゴマークを使用することができます。
環境コミュニケーション大賞は、優れた環境報告書や環境活動レポートなどを表彰することにより、事業者などの環境経営および環境コミュニケーションへの取り組みを促進するとともに、環境情報開示の質の向上を図ることを目的とする表彰制度です。
今回で20回目という事になりますが環境活動レポート部門は、2004年に、エコアクション21が開始した同じ年、環境活動レポート部門が創設され今回で12回目となります。環境活動レポート部門は、エコアクション21の認証登録している事業者が、エコアクション21に基いてPDCAを回した成果として環境活動レポートをを作成し公表するというものです。各社とも非常に熱心に取り組まれ「環境活動レポート」をコミュニケーションツールとして活用し、積極的に取り組んでいる事業者が増えてきているという事の現れかと思います。
環境活動レポート部門での大賞は、来ハトメ工業株式会社様が受賞され、当社はその部門で「優良賞」を受賞しました。2015年の第18回環境コミュニケーション大賞に続き今回で2度めの受賞となりました。今回応募した事業者様の環境活動レポートは、環境コミュニケーション大賞が始まった当初の比べ、かなり事業の環境活動レポートに取り組む姿勢、レポートの内容、質的な面に変化が見られれたようです。
この度、当社が評価頂いた点は、活動レポートの中に社員の顔が数多く掲載している。社員に役割を認識させて環境活動を推進しようとしている事が感じられる。環境目標と実績は表とグラフにより分かりやすく掲載し成果もあげている。また、様々な取組事例が図や写真を用いて紹介していること。代表者による評価と見直しに具体的な指摘も適切であり、経営トップが環境活動に積極的に関与している事がわかるといった点でした。
各事業者とも最初の頃は、代表者の方や一部の担当者の方だけが非常に熱心で、そういう方のリーダーシップのもとに取り組みが進められていて、必ずしも、社員全員で目標を共有して取り組みが進められている訳ではなかった。内容的にもエコアクション21の必須項目である代表者による環境への取り組みへのコミットメント、いわゆる環境方針を立て、環境目標、環境活動計画、そして、環境実績を明らかにし、さらに代表者による見直しをかけていくという、必須項目を取り敢えず網羅したレポートというものが多かったが、最近のものは、非常に取組内容が具体的でかつ、データーに基いて非常に解りやすく記載されている点に加え、中小の事業者ならではの、社員一人ひとりの顔が見える、夫々の社員が夫々の立場で熱心に取り組んでいる様子が伝わってくる。そういう社員の顔が見えるレポートが増えてきているというのが最近の傾向のようです。
今回大賞を受賞されました来ハトメ工業株式会社様のレポートを例に挙げ、どのような点が評価されたのについては、まず、社員全員が一丸となって取り組んでいる様子が随所に伺えるものである。環境活動レポートをホームページにもアップされていて、40ページのもなる力作であり、ほぼ全てのページに、社員の方たちの顔写真と熱心に取り組まれている様子が掲載されており、一人ひとりの顔が見えるレポートになっている点が大変評価できる点。環境活動計画に於いては、責任者が明確になっていて、そして具体的な施策がしっかりとしたPDCAの中で講じられているということが手に取るようにわかる。
さらに目標項目ごとに経年の変化、それから総量や原単位がグラフで示されていて、そしてその取組の成果や課題につきましても分析や評価も詳細でわかりやすい内容になっている点が挙げられます。1項目に1ページに掲載されていまして、写真や図を用いてとにかく読みての立場に立った、読む人が見ていて興味を持てるものなっているかどうかというところにも非常に配慮された構成になっているという風に感じます。
情報開示のレベルが極めて高い点が大きく評価され。更には、中小の事業者では難しいところもありますが、パリ協定ですとか国内事案を意識した環境目標の設定、生物多様性条約にも対応した環境教育といったような、世界規模、グローバルな視点での環境に対しての動向も認識し、それを意識して自らの事業活動に結びつけて具体的な取り組みをしていこうという姿勢が見られるという点を高く評価している。
総じて、数字や客観的なデーターだけではなく、社員の声というものも随所に記載されていて状況が伝わる良いレポートに仕上がっている。環境人財の育成に力を入れているということがよく分かるし、社員の環境意識の醸成というものが会社全体の環境への取り組みを推進していくと言うことを現している。
近年大手企業がバリューチェーン全体での環境への取り組みを強化しているという中で、中小の企業としてもしっかり環境経営に取り組みをし、環境情報を開示していくという事が否応なく求められるそういう状況になっています。そういう中で様々なステークホルダーに積極的に情報を発信していく言う意味でも、読み手の立場に立ったレポートの内容工夫、そして検証ツールとしての高い質を担保していくことが重要となってくる。
その為には活動内容とか数値や実績だけでは無く、具体的にどのような取り組みを通じて環境負荷の低減が実現できたのか、若しくは、社内でどのような立場の人がどのように関わることで成果が上がっているのか?課題は何なのか?というところをプロセスも含めて可視化し伝えていくという事が重要になってくる。
写真やグラフなどを効果的に使用して見える化を図る工夫も当然される必要になりますが、更に言えば、レポートを社内や関連事業者だけではなくて、例えば社員がレポートを家に持ち帰って、その中身を家族で共有する事で家庭の中で環境教育ツールとして伝える内容になっているということもこれからもっと求められてくると思う。
それから数値目標の設定のあり方ですが、どの項目も毎年1%ずつ削減しますと言うような内容では無く、何故1%なのか?根拠がしっかりしているということ、そしてまた目標が達成できた場合、できなかった場合に、その要因を自己分析し、その分析が適切なものであり、それをもとに、さらなる対策をしっかりと検討している。そのための体制を整えていくと言ったとこもろも、今後は、環境活動レポートの中で、明らかにしていくことが求められてくると思う。
そして、何よりもトップだけではなく、また担当者だけではなく、成功の鍵を握っているのは「社員全員」による共有だと言う点です。そして、環境への取り組みの積極性という面で、世界や国の環境情勢をしっかりと意識して、それを自らの本来業務に引き寄せて、将来ビジョンを描き、具体的な目標を見出し、明らかにしていくという事が今後の環境活動レポートに求められてくる重要なポイントです。
現在、エコアクション21のガイドラインが見直し作業に入っていて、エコアクション21ガイドライン2017年版の案が公表されています。その中では、今は「環境活動レポート」と言っていますが、今後は、「環境経営レポート」と云うふうに置き換え、環境面に於ける取り組みが経営を改善し、向上させていくという風に、環境経営レポートは、自らの環境取組を様々な人へ語りかけるための対話ツールに位置づけているという点です。
更に「持続可能な開発目標」いわゆる「SDGs」が、地球温暖化対策の新たな国際枠組みとなり、パリ協定の発行により企業の皆さまは事業活動において、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量削減を始めとした環境負荷低減の取り組みやCSR活動を通じて持続可能な社会の実現に向けての役割、期待も大きくなります。「環境」「社会」「ガバナンス」のESG企業の長期的な成長のためには、ESGが示す3つの観点が必要だという考え方が世界的に広まっています。
二酸化炭素排出量を始めとする環境データーを審査員が事業者の協力の下に入手をして中央事務局に報告し、中央事務局が分類集計、分析した上で環境経営に資する優良な情報として事業者とか様々な関係者にフィードバックをして環境経営に活用してもらう。そういう内容も今度のガイドラインには組み込まれています。エコアクション21とその中で環境経営に取り組まれる事業者の方々にとしまして、環境側面に於ける取り組みが経営を改善向上させる有効なツールとなりうるものです。それを賢く活用し使いこなして行くことが重要となります。 環境活動レポート2016